15人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「これ!」
制服のポケットから俺はある物を取り出してアイに渡す。
「え?」
それを受け取りアイは驚いた顔をする。
「この四つ葉のクローバーは幸せになれるんだろ?」
アイからもらったヨツバノクローバーの栞をアイに見せながら俺は言う。
「キズナ……?
これあたしが作ったのじゃないよね?」
俺が手渡したものを見ながらアイは呟いた。
アイは気付いてた。
「俺が作ったんだ。
アイにいつかあげようと思って持ってたんだ。
アイみたいに上手には作れなかったけどな」
アイに渡したもの。
それは俺が作った四つ葉のクローバーの栞。
アイみたいに上手くはできなかったけど、アイにあげたくてずっとずっと……持っていたんだ。
「ありがとう、キズナ」
俺の渡した栞をアイはギュッと大事そうに握りしめた。
「俺ばっかり幸せじゃ、理不尽だから一緒に幸せになろうぜ」
そう言って俺はアイにブイサインをして見せた。
「……やめた」
俺にやっと聞こえるくらいの声でアイはボソリと言う。
「へ?」
やめたって……?
何をやめたんだろう。
「あたし、ガッコ辞めるのやめた」
凛とした表情でアイは言う。
最初のコメントを投稿しよう!