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「アイ!」
一度言った事は中々曲げないアイの言葉とは思えず、嬉しい事のはずなのに俺は驚きを隠せなかった。
「もっとキズナと一緒に同じ時間(とき)を過ごしたいから……」
上目づかいでアイは俺を見る。
そんな表情で見つめられたらもう……。
「それって……」
これは告白と捉えていいのだろうか?
いやいや。
単なるアイの優しさかもしれない。
俺の心の中で討論が行われる。
「あたしと付き合って下さい」
アイは俺に手を差し出してきた。
「ずるいぞ!
俺が言おうと思ってたんだぞ!」
完全にいいとこを持って行かれ俺は思わず叫んだ。
「早い者勝ちよ」
そう言ってアイは更に手を突き出す。
「アイ~」
ガックリと俺は肩を落とす。
「で、答えは?」
俺の答えをアイはまだかまだかと待っている。
「決まってるだろ?
オッケーさ!」
アイの手を掴み俺は軽々とアイをお姫様抱っこする。
「キャ!
下ろしなさいよ!
お姫様抱っこなんてみっともないわ!」
お姫様抱っこされたアイは俺の腕の中でジタバタともがく。
「断る!
このまま、家に帰る!」
アイを抱えたまま俺はスタスタと歩き出す。
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