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「待ってくれよ~」
そう言いながら泰蔵も俺よりちょっと遅れて教室に戻った。
***
――2-A――
教室に戻ると残り少なくなった昼休みという貴重な時間を生徒たちは各々過ごしていた。
席に着くなり俺は窓側の席を見る。
「…………」
窓側の席で一番後ろに座ってるアイの姿が目に入った。
アイは憂鬱そうに窓の外を眺めていた。
よくアイは外を眺めてる。
クラスメートとワイワイ話してる姿は見た事がない。
「三宅の姿が見えないって思ったらもう教室に戻ってたのか」
俺の視線の先に気づいた泰蔵が呟いた。
「戻ってたというより、見にいってない感じだぞ?」
アイはいつもそうだ。
テストの結果は見に行かない。
「はん。
興味ないですってか。
頭がいい人は違いますね~」
嫌味たっぷりに泰蔵は言う。
「それは俺に対しても喧嘩を売ってると解釈していいのか?」
ムッとした俺は泰蔵に言い返した。
「いや、その。
そんなつもりはなかったんだ。
スマン」
素直に泰蔵は謝った。
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