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「謝るくらいなら言うべきじゃないわ」
さっきまで窓の外を見ていたアイが俺達のとこまで来ていた。
アイが自ら話しかけてくる事は滅多にない。
アイの行動にクラスメートはざわついている。
「アナタは忍者ですか」
わざとらしく泰蔵は言う。
「小森君にいい言葉を教えてあげるわ」
表情を変えずにアイは言う。
「何何?」
いつも口数が少ないアイが喋ってる事に興味心身な泰蔵。
いや、泰蔵だけでない。
クラスメート達も聞き耳を立てているのがひしひしと伝わってくる。
「口には関所がない」
ジッと泰蔵を見たままアイは言う。
アイの言葉に反応し俺は飲もうと思って持っていたペットボトルを机の上に落してしまった。
寂しげにペットボトルはコロンと倒れた。
「口が関所になった?
なんじゃそりゃ?」
意味がわからず泰蔵は首を傾げている。
「ことわざだよ。
『口には関所がない』。
つまり、何を言ってもそれを言うなって奴はいなく言葉は自由であるがだからこそ口に出す言葉は注意しろって言う戒めだよ」
俺は倒れたペットボトルを立てながら、泰蔵にわかりやすいように説明する。
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