aller a la chasse

2/17
763人が本棚に入れています
本棚に追加
/286ページ
「……ツッキー、聞こえるー?」 俺は無線機に向かって話し掛ける。周囲は静かに水の流れる音と、鼻のひん曲がるような悪臭で満ちていた。 一歩歩くごとにコツンコツンと足音と声が反響して暗闇の向こうへと響いていく。やがてノイズ混じりの音声が黒い無線機から発せられた。 「……聞こえてる。問題無し。」 月弥の声だ。無事に通信はできているようだ。 「はいよ。んじゃざっくり説明するけど、敵はどうも下水道を使って大阪府警の目を逃れているらしい。以前にこのグループと交戦した大阪府警がマンホールに逃げ込む姿を目撃してる。……つってもこの環境じゃ長い間留まれないから、恐らく逃走用、もしかしたらトラップや武器の貯蔵なんかをしてるんだろう。」 「それで?」 「俺は下水道を通って敵を探す。ツッキーはレーダーで俺の位置を確認して、地上から俺についてきてくれ。 んで、怪しい建物や集団を見かけたら逐一報告。これは俺もだな。」 地上と地下を一緒に調べて行く。マンホールを逃走用の通路として使っているなら、その形跡や、出口近くに本拠地があると踏んだが故の捜索方法だ。
/286ページ

最初のコメントを投稿しよう!