灰色白髪の目覚め

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………この力。 ザケンはここに来て、真の力を覚醒させた。 今までの彼は、セーラへの後悔がどうしても拭えず、何処かで無理をしていた。 然し、その蟠りが取れ、そして愛する者を殺された怒りは、想いの強さを開くのに充分。 つまり、彼は能力開花していたのではなかった。 産まれた時から力が使えた為、これ以上疑問に思った事がなかったのだ。 「……………セーラ」 沸き上がる力。 たぎる血潮、瞬間に癒す魅惑の能力。 基本は変わらないが、以前に比べ格段に威力が増している。 これこそが、彼の真の実力だった。 「…………娘は、俺様が守るからよ」 きっと、娘は生きている。 セーラは子供の事を言わなかったが、彼女の性格から、既に亡くなっているなら先に話しただろう。 恐らく、何らかの事情があった筈だ。 ザケンはセーラの亡骸を静かに埋葬すると、想いを胸に前を向く。 「………ボス、遅れて済まねぇ、今からでも間に合うよな?」 自分には、やる事がある。 救ってくれたセーラの為にも、まだ見ぬ娘の為にも。 そして、支えてくれた仲間や、ミルフィの為にも。 「俺様は………戦う」 ザケンは決意を言葉にし、全てに決別して走り出した。
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