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北部、ニルヴァの最前線。
……………
「だりゃあああっ!」
ズシャ!
蒼い髪を短く切り揃えた、絶世の美男子が、猛々しい雄叫びをあげる。
華麗で残像をも残す彼の剣速は、悪魔の赤目を容易く斬り裂き、共に戦う者達の目を奪った。
「おおおっ、流石はラスベル様!」
「キャア~!素敵、ラスベル様ァ!」
「行け、一気に押し返すぞ!!」
先陣を切る彼の勇敢で優美な姿勢に、嫌が応にも勇気を貰う。
中には、思わず見とれて黄色い声援を飛ばしてしまう女性もいた。
「止まるな!ここを破れば僕達の勝利だ!」
「おお!」
ドール達との激戦。
だが滅ぼされかけたニルヴァは、一人の若者に因って救われた。
まだ正式に認められていなかったが、あのランカスターでの惨劇を逃れた兵士達は、故郷に戻って人々に伝えている。
ニトに代わり、俺達の未来を導く若き英雄の誕生を。
その者、旧ラナ王国の大将軍、蒼き虎のレオナルドの息子にして、絶世の美男子。
亡き皇族シュバイツから国王の印を譲り受け、類い稀なる力を有して戦う新しき我等の王。
「ずりゃあ!」
ザンッ!
その剣速、神の如し。
蒼き衣を纏う、美しくも強いその若者の名を、ラスベル・エルレーンと言った。
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