三ヶ月後

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…………… さて、ここで少し話をしよう。 先ず、現在の三人の状況はこんな感じだった。 彼女達がランカスターを離れてから、ルノーに着いたのは二月前。 目的は特に無く、ミルフィは別として、ラファリアもリックも世界の情勢はどうでも良かった。 世間は慌ただしく動いており、ちょうど彼女達が入都してから、ルノーは周りに壁を築き、外界から遮断された。 その為、ラファリアの提案により、とりあえずこの街で過ごす事になる。 ルノーがランカスター並みに栄えていて過ごし易い事もあったが、彼女にはシェラにミルフィを差し出さなければならない役割があった。 また仮に今はそうでなくとも、彼からは決して逃げられない。 そう考えたラファリアは、得体の知れない力を持つリックを手元に置き、彼に対して抑止力を持つつもりだった。 一方でリックもまた、この二人の事を気に入っていたのもあるが、彼には明確な目的がある。 アン・グレゴールの臭いがする彼女達の側に居れば、必ず持ち主が現れると踏んでいた。 やっと掴んだ手掛かりの為、神石が自分の手に戻るまでは、恋愛ごっこを楽しんでいる。 そしてラファリアもリックも、お互いの力を決して見せようとはしなかった。 理由は各々別だが、この奇妙なバランスが三人を上手く保っていたのも事実。 だからこそ、彼女達はこの閉鎖された街に留まっていた。 二人にとって、戦闘が起きないのは都合が良かったに他ならない。
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