三ヶ月後

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…………… 「………そのブローチ、どうなされたの?」 「………えっ?」 ルノーの中央広場に向かう途中、唐突にミルフィがラファリアに尋ねた。 「先程までなかったですよね?」 「……え、あっ、こ、これ?」 その質問にラファリアは、あからさまに動揺した。 (…………解りやすい方) 勿論、ミルフィの方はわざとだ。 「か、可愛いでしょ、こないだ買ったのよ!」 「………そうなんですの、私も欲しかったですわ」 「あ、うっ………ち、調子に乗らないでよね!何でアンタの分まで買わなきゃいけないのよ!」 (……………間違いないですわ) 「………そうですわね、捕らわれの身で出過ぎた真似を、ごめんなさいの」 ミルフィが仰々しく足を止めて頭を下げると、ラファリアは何故か罪悪感に駈られた。 「あ、い、いや、その……」 「あまりに素敵だったので、つい」 「ふ、ふん!仕方無いわね!こ、今度見掛けたら、アンタの分も買ってあげるわよ!」 ラファリアは怒った振りをしながら、顔を合わせない様にソッポを向く。 「………ありがとうですの」 (……………) この態度で、ミルフィは確信が持てた。 ラファリアは自分を悪魔だ、悪魔だと追い詰めてはいるが、本音の所はまだ染まっていないという事。 状況により変化したとしても、彼女は根っからの悪人ではなかった。
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