灰色白髪の目覚め

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ザケンの回想 ラナ王国歴 231年 8月。 (今から、約20年前) …………… そうだな。 どこから話をすれば良いだろうか。 当時、俺様は18になったばかりのクソガキだった。 西の都ルノーのスラム街で育った俺様は、そりゃあロクなもんじゃなかったな。 因みに、産まれたのはここではない。 たが、両親は奇怪な体質の俺様を悪魔の子として恐れ、直ぐにルノーに捨てたから、まぁ故郷みたいなもんだ。 奇怪な体質というのは、血液が異常に少なくて、臓器の位置が心臓を除いて他人と違うという事。 それと同時に、俺様は決して太る事がなく、産まれた時からガリガリで然も白髪だった事だ。 勿論、それだけでも気味悪い子供だが、両親が俺を怖がり、3歳なる前にスラム街に捨てたのは別の理由がある。 今じゃ皆知ってる事だが、俺様は自らの意思とは関係なく、どんな傷でも病気でも勝手に治してしまったからだ。 大怪我しようが殴られようが、余り飯や水も飲まずとも生きられる子供。 重宝されるどころか、両親は悪魔を授かってしまったと嘆き、俺様に手を下す事は出来ずに捨てた。 後に聞いた話では、その後で直ぐ両親は自殺したらしい。 やるせないが、そんな両親を俺様は恨んじゃいねぇよ。
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