灰色白髪の目覚め

12/63
前へ
/2995ページ
次へ
穴から這い出た俺様達だが、最初に出迎えたのは衛兵だった。 奴等は俺達が穴を開けているのに気付いていて、ヘラヘラしながら待ち構えていたんだ。 「ゴミ捨て場で、我々の残飯を頼りに生きるウジ虫達が、人間様の世界に来ちゃダメじゃないか」 何だと? 「街が汚される前に、ウジ虫には巣に戻ってもらわねばな?ハハハッ」 衛兵達はたった3人で、此方は100人。 随分と舐められたもんだ。 だが訓練された衛兵達にとっては、スラムの俺達等は歯牙にも掛けない存在だったのだろう。 ザシュ! 「ぐぁ!」 俺様の見ている前で、仲間の一人が串刺しにされた。 有無を言わさず、まるでゴミの様に。 血を見慣れた俺様だが、人は殺した事はなかった。 だが奴等は無慈悲に、それも心臓を剣で刺したんだ。 「ハハハッ、ゴミでも赤い血が流れるんだな?」 「……………」 俺様は自慢じゃないが、これでも仲間想いな所がある。 同じスラム街で育った仲間は、例え俺様がお山の大将であったとしても、大切な友達だったんだ。 即死だから、治癒する事も出来ない。 下げずまれ、嘲笑られ、人間としての価値もないってか? 「………っ野郎!」 「ん?………な、何だ貴様!」 ………… 仲間一人を殺られた俺様は、気が付けば衛兵達に飛び掛かっていた。 全く加減無しに発動した能力は、奴等を内部から破壊し、只の肉塊へと変えた。 その時、初めて俺様は人を殺した。
/2995ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1315人が本棚に入れています
本棚に追加