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檻から逃げ出して、数日が経った。
楽しいが、何処か満たされない俺様の元に、仲間の一人がお願いをしてきた。
「ボス、どうかこの女だけは、殺さないで欲しいんでさぁ」
そいつは俺様の片腕で、顔は醜くとも愛嬌のあるイイヤツだった。
そいつが何時になく顔を赤く染め、凌辱した女の一人を側に連れている。
「…………何でだ?」
俺様が理由を尋ねると、そいつは頭を掻きながら照れくさそうに言った。
「い、いや、それが気にいっちまってよぉ、な、何だか知らねぇが、コイツにはもう、余りヒデェ事はしたくないんだよ」
「…………仲間にしたいと?」
「仲間………いや、なんっつうか、俺だけの物にしたいんでさぁ」
ヤルしか感情がない、判断基準がない俺様達にとって、これは初めての事だった。
異性に惹かれる気持ち、大切に想う気持ち、守ってあげたい気持ち。
そんな好きだとか、愛なんてモノを一番最初に体験したのがコイツだったんだろうな。
勿論、女の方は泣いて怯えていたがね。
「………良いだろう、好きにしろよ」
「あ、ありがてぇ!ボスもきっと、そう思う女が見付かりまさぁ!」
「……………」
本当にそうだろうか。
ただ俺様は嬉しそうに跳び跳ねる仲間を見て、そんなに悪い気分ではなかった。
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