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後で聞いた話では、セーラは普通の家の娘だったそうだ。
然し余りにも美しい容姿と、その魅惑の身体は街中の噂になり、ベルナッド家のフリップに目を付けられる事になる。
彼女自身は奴隷でも何でも無いが、フリップは多額の金と権力を行使して、彼女を買収した。
それだけじゃない。
何でもセーラの周りにいた男達は、その全員が離されるか闇に葬られたとか。
この時、フリップは既に何人もの美女を持っていたが、彼女もその一人に選ばれたという事だ。
確かにベルナッド家の女になれば、若い間は何一つ不自由なく暮らせるだろう。
だがそれは、あくまでも若い時だけだ。
老いた美人等、あの豚は容赦しない。
セーラはどう思っていたかは知らないが、少なくともそれは事実だった。
……………
彼女は全てを諦め、無表情で一団の中心を進んでいた。
俺様はじっと彼女を見詰め、殺気立つ程の視線を浴びせる。
「……………」
すると、何万人もの見学者がいる中で、奇跡的な事が起こった。
ふいに彼女が俺様を見詰め、そして俺様と目が合ったのだ。
「……………」
ゲハハッ、待ってろよ。
お前は、俺様のモンだからな?
何処にも行くんじゃねぇよ。
…………
セーラは何も言わず、怯えず、ただ俺様を見ていた。
今にして思えば、彼女がどうして俺様から目を離さなかったのか、不思議でならない。
まぁ良い、そんな理由はどうでもいい。
この時に初めて、俺様とセーラは出会った事になる。
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