灰色白髪の目覚め

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俺様はアジトに戻ると、仲間に嬉々としてセーラの事を報告した。 「ちょっと欲しい女が出来た。今夜にでも拐いにいくぜ」 仲間達は、まるで自分の事の様に喜んでくれた。 俺様は、それが何より嬉しかった。 コイツらは、みてくれは悪くとも、本当に気の良い奴等なんだ。 能力も無く、無様で、醜くても、俺様にとっては家族と等しい。 一人殺られて、今は99人の子分だが、俺様はコイツ等と生きていきたいと思っていた。 「ボス、俺達も手伝いまさぁ!」 「いや、今回は俺様だけでいい。お前等は新しい家を襲っておけ」 「大丈夫ですかい?」 「あぁ、問題ねぇよ。俺様だぜ?」 俺が得意気に腰に手をあてると、仲間達はどっと笑った。 「ガハハッ、ちげえねぇ!」 「ザケン万歳!世の中万歳!」 「ゲハハハハッ!」 ………… 夜が待ち遠しい。 こんなにもワクワクするのは、生まれて初めてだ。 外の世界に出て良かった。 俺様達は、この世界を牛耳るんだ。 若さと無学の俺様は、本気でそんな事を考えていた。 愚かで、滑稽で、何と世間知らずな。 スラムで天下を取った程度で、この世に一体どれだけの人間が居たと思うのか。 本当に、俺様はバカだった。
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