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……………
「ハァハァ、な、何だテメェ、股から血なんか流しやがって」
行為の後、セーラは天井を見上げたまま、動かなかった。
俺様は彼女の流した血が、また自殺を図ったものだと思っていた。
「お、お前は俺様のモンだ、か、勝手に傷つけんじゃねぇよ!」
本当に、呆れる程のクズだ。
彼女の初めてを奪い、傷付けたのは俺様自身だと言うのに。
「……………!?」
パァアアアッ
俺様は彼女の股に手を向け、出来る限りの治癒を施す。
瞬く間に傷は癒えたのか、セーラは驚いた顔をして俺様を見た。
「ゲハ、ゲハハハッ、こ、これで良いだろ、もう痛くねぇだろ?わ、わかったかよ、獣でも能力(チカラ)は人間に負けてねぇって事がよ!」
俺様は興奮醒めず、これでセーラも言いなりになると思っていた。
いや、興奮してたんじゃない。
なんだか、とても嫌な気分になっていて、取り繕うように自分にそう言い聞かせてたんだ。
だが彼女は、虚ろな目を向けて、静かにその口を開いた。
「………治癒………能力、そぅ、だから死ねなかったのね……」
「………クククッ、そ、そうだ!」
俺様はやっとわかったか?くらいなつもりで、セーラの顔を掴む。
「……………」
ツゥ。
「!?」
彼女は大粒の涙を頬に流した。
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