灰色白髪の目覚め

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ズキン! 途端、俺様の胸の内に、受けた事もない痛みが走る。 「…………グスッ………ひっく……」 そして次に、彼女は嗚咽を洩らした。 ズキン!ズキン! 今度は、もっと激しく、胸が傷んだ。 「がっ………な、なん………だ?」 思わず胸を抑え、声に出して苦しむ程だ。 セーラを見てたら、何だかとても堪えられそうになかった。 「や、やめ………ろ、な、何の力を使いやがった?」 「…………グスッ………グスッ」 「お、お前………な、泣くな、泣くんじゃねぇよ!た、頼む、胸が苦しい」 ガバッ! 「………グスッ………えっ!?」 俺様は自然に、苦しさに負け、何故か彼女を抱き締めていた。 「た、頼む、泣かないで……泣かないでくれ、痛い、胸が痛い」 「……………」 「お前は俺様のモンだ、俺様のモンなんだ、だ、から……だから泣くな」 …………… 切ない気持ちとは、こういった感情なのだろうか。 俺様は訳も解らず、ただ彼女を強く抱き締め直した。 すると痛みが、少しずつだが引いていくんだ。 それはもの凄く、不思議な事だった。
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