灰色白髪の目覚め

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「……グスッ………だって、これで終わりだもの。全てが終わりだもの」 ……終わり? 何故だ、始まりはこれからじゃねぇのか? 少なくとも俺様は、お前と共に生きていきたいと思ってるんだぜ? 「……処女を失った私では、豚の評価は格段に下がるわ。だから私は貴族にも成れない、惨めな娼婦の人生が待っている」 「………は?………ふざけんな、そんな訳があるかよ」 俺様は聴くに堪えず、遂に口を開いた。 だがセーラは、泣きながら微笑むだけ。 「……でも良いの。貴方に抱かれた事で、私は私の自我を保てた。これでもう、どんな人生でも我慢出来るから」 「………だから何でだよ!」 「………さようならザケン、貴方は憎いけど、同時に素敵だったわ……」 セーラが視線を落とし、両手で顔を覆った時だった。 「…………っざけんな!!」 「………えっ!?………んぐっ!?」 俺様は我慢の限界に達し、強引に、乱暴に彼女の唇を奪う。 「ザ………ケン……」 「お前、何を言ってる!お前は、俺様の女だ、俺様の大切な女だ!!」 「…………あっ!?……あぁ!?」 そして再び、俺様は強姦気味に彼女を抱いた。 激しく、優しく、出来るだけ想いを込めて。 「……あっ……ザケン………ザケン!」 「セ、セーラ!!」 ………… 今度はセーラも、何処か幸せそうに感じてくれた。 そして俺様は、本当に彼女を愛しているのだと解った。
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