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「きたね、」
約束の時間になって、来てみれば 会場には誰もいなくて しん、としていた。
「そこに座ってて、今飲み物を入れてくるよ」
なんだか冷めた声に似た音で僕に言うと、奥のほうへ消えていった。
立川さんに指定された席に座るとドッドッと心臓の大きくなっているのに気付いた。
僕はこれから何を言われるのだろう。
僕はこれからどうすればいいのだろう。
僕はこれから
「はい、アツいから気をつけてね」
湯気の出たカップを持ってきた立川さんは片方を僕に渡して、僕の横にある椅子に座った。
(また、コーヒー……)
シン……、と静けさが広がる。
耳が痛い。
そんななか、立川さんが口を開いた。
「最後の撮影が終わってから、君は僕の家までよく来ていたね」
「っ、」
冷たいような、暖かいような よく分からない言葉が僕の心を刺す。
あぁ、やっぱり それ、 だ。
「何が目的?約一ヶ月つけまわしていたね」
「……っ、」
ヒュッと息を呑む。
こんなに、息をするの難しかったっけ……。
「君は俺をどうしたかったの?君は何をしたかったの?」
じわり、と目の前が見えなくなる。僕は、
「君は、何をしたいの?」
その瞬間、衝撃が走った。
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