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気づけば僕は立川さんの細い首を両手で強く締め付けていた。
ぐぐぐ、と僕の両手がどんどんきつくなっていく。
立川さんの首はドクンドクンと大きく脈立ち、静かに酸素を求めていた。
仰向けに泣くような顔で微笑む立川さんの顔がこんなに美しいものだとは思わなかった。
「俺、死ぬの?」
今にもなくなりそうな喉の振動が両手に伝わり鳥肌がたった。
「……好きだよ」
酷くしゃがれた 今にも泣きそうな声だ。
一瞬誰の声だろう なんて分からなかった。
僕の声って、こんなんだったっけ。
「そんなの知ってるよ」
目を真っ赤にした彼がへにゃと笑う。
「好きだ、よ」
「そうだね」
「殺したくないよ」
「分かってるよ」
「大好きなんだ……」
ポタポタと立川さんの顔に僕の涙が落ちた。
僕はなんてことをしているんだろう。
僕は何をしたいんだろう。
彼の首を締め付けている僕の手は緩まることを知らない。
それどころか、どんどん強くなってきている気がした。
ぐすぐずと泣きつづけて ひたすらに今の感情を口にした。
何だかもう訳が分からない。
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