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「そういえば聞いていなかったね、」
夕食を囲んでいると、ジンさんが突然何かを思い出したように僕のほうを向いて言った。
「何故君は僕をジンと名づけたんだい?」
「、」
また、ドキリ。
僕はジンさんの本当の名前を知らない。
ジンさんが言うには『僕には名前がないんだ』らしい。
だから、ジンという名前は僕がつけた。
「心拍数が早くなったね」
「、」
ジンさんが僕の左手首を軽く持ち静かに言う。
思わずコクリ、なんて唾を飲んでしまう。
「……また、今度」
やっと出た言葉はそれで 声が裏返ってしまったことに戸惑う。
混乱する。
「じゃあ、その時を待ってるね 黒猫ちゃん。」
僕を子猫と呼ぶジンさんの顔が綺麗に歪んだ。
(僕の神様だから、なんて 言えるわけない )
ドクリ、とまた 心拍数が上がるのが分かった。
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