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その歳、停滞しつつあった地球の文明を大きく飛躍させる出来事が起きた。
何の前触れもなかった。どこかの科学者が今までにない画期的な発明をした訳でも、古代の遺産が発見されたという訳でもない。地球の文明を大きく飛躍させたもの。それは、空から飛来してきた。つまり、宇宙人の襲来である。
人々は怯えた。今まで誰も接したことのない未知の存在に。このまま地球が宇宙人によって侵略されてしまうのではないのか。誰もがそんな不安を抱いた。地球の文明では、未だプロペラやジェットエンジンのような大掛かりな機械を使わなければ空を飛ぶことはできない。一方、やってきた宇宙船はSF小説にでも出てくるような外見からは、どんな動力を使っているのか分からない代物だ。宇宙船、一つとってのこの差だ。太刀打ちできるとは思えない。
しかし、愚かな国もいた。明かに文明が違い過ぎるというのに、宇宙人の存在を真っ向から否定し、大国からの侵略だと言いだし攻撃を仕掛けた。某国が所有するありったけの兵器を使い宇宙船を撃ち落とそうした。そして、すぐにその行為は無駄であることを悟る。宇宙船から発せられた特殊な電磁波によって最新鋭の兵器は全て無力化された。電子機器を使わない旧式の兵器なら宇宙船に命中させることは可能であった。だが、結果は目に見えていた。その程度の兵器では宇宙船に傷一つ負わせることはできない。
ついに、宇宙船は地球に着陸してしまった。報道規制を敷いてはいたが、今はインターネットが普及している時代だ。宇宙船の模様はインターネットを通じ世界中に同時配信された。
これまで、宇宙人を否定し続けてきた学者は開いた口が塞がらず、宇宙人を神のように信仰してきたオカルトマニアは狂喜乱舞する。たった一機の宇宙船の襲来。それだけで、地球は良い意味でも悪い意味でもお祭り騒ぎのように盛り上がった。
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