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もう隠しきれないと各国の政府は判断して、国連を通じて宇宙船の周囲数キロには非常線を張らせ、代表者が宇宙人と対面することになった。だが、宇宙人と対面という話になると、いつもなら椅子に腰掛け偉そうにしている議員達はこぞって躊躇した。無理もないだろう。彼らは人間を相手にするつもりで、国連の議員になったのであって、宇宙人を相手に対面する自信がなかった。対面が成功すれば、歴史に名が残るかも知れないが、一歩間違えれば、自分の言動一つで地球を滅ぼしてしまうかもしれないのだ。そんな大役を受けようとする度胸はなかった。しかし、誰が宇宙人と対面を果たすのか言い合っている時間はなかった。宇宙船は今、着陸してこちらの出方を窺っている。議員同士のくだらない意地の張り合いを続けている現状では、事態が好転するとは思えない。
国連の対応を待たされる人の中には、宇宙人に殺され実験材料にされるのではないかという不安から自殺者が現れる始末だ。また、対応の遅さに抗議し国連前では警察と市民の小競り合いも起こっていた。事態は深刻だ。それらを、払拭する為には、すぐにでも動かなくてはならない。
結局、宇宙人と対面する代表者はクジで決められることになった。その結果、クジを引き当てたのはアメリカの議員だった。
議員は嫌だと断りたかったが、子供っぽい理由では言えなかった。それに、普段から国連を引っ張っているという立場もある。ヘタに断れは、アメリカの権威が低迷してしまう。後には引けなかった。
「分かりました。引き受けましょう」
見栄を張りそう言うしかなかった。
アメリカの議員は保険に入っておいた方がいいかと思い、部下に保険会社に連絡するように言った。だが、どの保険会社も議員に保険をかけてくれることはなかった。理由は、宇宙人に殺された場合、人災になるのか天災になるのか判断できないからだ。それは、建前であり、やはり宇宙人との対面に失敗した際の被害を考えると、議員とは関係を持ちたくないが本音だ。
議員は他の者に後押しされながら、宇宙船へと向かうしかなかった。
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