cp2 籠城

6/11
前へ
/73ページ
次へ
「奥野さん、散弾銃の弾を探しているんですか?」 「あぁ、結城くんか。そうだ、弾を探しているんだ。よかったら手伝ってくれないか?」 「いいですよ。探しましょう。」 結城は奥野が探している散弾銃の弾を、一緒になって探し始めた。 「これじゃないですか?」 結城が棚の奥にしまわれていた箱を引っ張り出す。少し埃を被ってはいるが、中身は大丈夫そうだ。 「多分これだろう。結城くん、ありがとう。助かったよ。」 奥野は散弾銃に見つけた弾を装填していく。結城はその様子を見ながら、少し不思議に思った。奥野は明らかに慣れた手つきで装填している。クレー射撃か何かやっているのだろうか。 「奥野さん、クレー射撃とかやってるんですか?」 「いや、実は実家が猟師の家でね。よく父親にレクチャーされたんだよ。」 そう言うと奥野は結城の横を通り抜け、一階に上がっていった。 結城もあとに続いて階段を上がっていく。空を厚い雲が覆っており、窓の外から光が差し込んでこないため、雑居ビルの中は少し薄暗かった。それでも、まだ電気がついているためか、他の建物よりは安心できるように思えた。 「救助はいつになったら来るのかしら…。自衛隊は災害派遣されないの?」 村岡が思っていることを口に出している。それは今この場にいる全員が思っていた。早く家に帰りたい。温かい食事をとりたい。皆がそう願っていた。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加