4人が本棚に入れています
本棚に追加
/73ページ
電気の消えた、薄暗い校舎。結城は北棟にある、各学年の各クラスの教室を片っ端から調べていく。その時だった。校舎に響き渡るほどの、女性の悲鳴が聞こえた。
「詩織!?」
結城はどこから聞こえたかも分からない悲鳴の主を捜すべく、北棟をひた走る。長い廊下を走り抜け、角を曲がった瞬間、結城は足下に違和感を感じて倒れた。
「何が置いて…う、うわっ!」
結城がつまづいたもの。それはこの学校の女子生徒だった。目は大きく見開かれており、そして胸部からの夥しい出血で、もはや死んでいるのは明らかだ。
しかし、結城は気づいてしまう。血がまだ流れ出ている。つまり、先ほどの悲鳴の主はこの女子生徒だ。ということは、彼女を殺害した何者かがまだ近くに潜んでいる可能性が高い。
結城は背中に掛けているショットガンを持った。いつ、どこから現れるかも分からない、謎の敵。結城は凄まじい緊張感に襲われていた。
「くっ…俺は詩織を迎えに来たんだ、こんなところで止まっているわけにはいかない!」
結城がその場を離れようとした、その時だった。目の前に、何かが降ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!