cp3 異形の者

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怪物の被弾した箇所から、どす黒い血が流れる。まるでタールのようだ。結城は体勢を立て直し、動きの遅くなった怪物に狙いを定める。そして、引き金を引いた。散弾は再び怪物に命中し、怪物は衝撃で仰向けにひっくり返る。結城は、怪物の弱点であると思わしき箇所を発見した。 仰向けにひっくり返っている怪物の、心臓と思われる場所が脈打っているのだ。 「とどめを刺してやる。」 結城は、怪物の心臓に至近距離からショットガンを発砲した。怪物はうなり声を上げてから、ぴくりとも動かなくなった。 「詩織…待ってるんだ…すぐ迎えに行くから…。」 結城は疲労のあまりその場に座り込んでしまう。怪物のむせかえるような血の臭いが、結城の顔をしかめさせる。 「動かないと…。」 結城は疲れた身体に力を込め、ゆっくりと立ち上がる。ショットガンを背負い、詩織の名を呼びながら校舎をさまよう。三階まで上がってきた時、一人の女性が駆け寄ってきた。 「し、詩織っ!」 「拓哉!無事で良かった…。」 結城はようやく、愛しい詩織と再会できたのだった。抱き合いながら、詩織は涙を流していた。 「助けに来てくれたの?」 教室の中から、二人の女性が出てきた。背の低いツインテールの女性と、標準的な身長の、長い髪の女性だ。二人とも綺麗な黒髪だ。
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