cp3 異形の者

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「詩織…もう大丈夫だよ。俺と一緒に行こう。」 「うん…。あ、あのね、友達も一緒に連れて行ってほしいの。」 「ああ、いいよ。俺がちゃんと守ってあげる。」 結城は女性三人を引き連れ、北棟から玄関まで戻ってきた。そこには既に二階堂の姿があった。 「結城さん、無事で良かった。彼女さんも…え?なんで姉さんが?」 二階堂の言葉で、女性二人のうちどちらかが二階堂の姉だと気づく。背の低い方か、長い髪の方か。 「芳樹、どうしてここに?」 「結城さんと一緒に、彼女さんを助けに来たんだよ。しかし、姉さんの友達だったの?」 「詩織は私の大事な友達よ。でも、詩織の彼が芳樹と一緒に私たちを助けに来てくれるなんて。世界は狭いわね。」 そう言い、二階堂萌華(ニカイドウ モエカ)は長い髪をかきあげる。結城は思わず見とれてしまう。長く美しい黒髪に、惹かれてしまった。 しかし、結城には大事な彼女が居る。そしてこの状況で、浮ついた気持ちで居るのは危険だ。 「そういえば、まだ貴女の名前を聞いていませんね。」 残るツインテールの女性に名前を尋ねる結城。彼女はおずおずと口を開いた。 「ごめんなさい、助けに来ていただいたのに挨拶もなしなんて…。私は渡辺さつきです。よろしくお願いします。」 「あぁ、よろしく。さて、じゃあ二階堂くん、彼女たちをあそこまで連れて行こう。」
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