子供達五歳

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キムは顔を背けて言う。 「ふ、フン!女の子は、だから嫌なんだよ! 何でも、直ぐに泣けば良いと思いやがって!」 不貞腐れた様子をするキム。 スンスンっと鼻を啜りながら泣くエミリとそれを慰めるジル。 そして、それらをぼんやりと見つめるアル。 相変わらず午前中はぼんやりとした様子で本を読み続けるアル。 読んだ本は、皆、記憶していた。 そう・・・・・・・。 強い記憶力はアルが持っていた。 明らかに記憶力の良いアルに、英雄でなくても期待をしている教師達。 アルの傍には、いつも多くの本が有った。 その本は、もう子供の読む本では無かった。 学園に通って魔法を習い始めるような子供達の読む本も混ざっていた。 最近のアルの興味は魔法。 多くの魔法の種類や属性や特性を勉強していた。 あ、勿論、それだけに偏らず、薬草や毒草・・・・他にも有効な魔物の素材やその部位等。 色々希少な物も多く載っている写真付きの高価な本を見ていた。 魔物の生息地や特徴や対応等も読んでいた。 他の多くの子供達が身体を動かしたり遊んだりしてる時間に、アルは本を読んでいた。 身体が動けない以上、それしかする事が無かったから。 文字は、何故か2歳になる前には覚えていた。 いや、その頃には記憶能力が発動していたのだろう。 だからかもしれない。
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