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次に部屋に来たのは、エミリだった。
緊張した様子で、教師達の指示通りに水晶球に触れる。
すると、水晶は白い光と青い光とに綺麗に半分に別れた。
「光と水だね。治癒属性に昇華出来るかもしれないなあ」
嬉しそうに言う教師達の様子に、エミリは、嬉しそうだった。
その次は、ジルだった。
「さ。ジル。手を置いて」
ジルは頷いて、手を置いた。
だが。
水晶珠は何の反応もしなかった。
「え?」
ジルは驚きの声を上げる。
そして、不安そうに周囲を見回す。
すると、眉を寄せて不満そうな表情でジルを見る教師達。
「まさか、魔力無しとはねえ・・・・・・・。
どうしましょうか」
一人の教師の言葉に、別の教師が言った。
「まだ、判りませんよ。後で、開花するかもしれませんしね。
勝手な判断で処分は難しいと思いますよ」
「ですね」
そう言って少し冷たくなった表情でジルに部屋を出るように言った。
ジルは俯き、肩を落とし哀しそうに部屋を出た。
教師達は、魔力無しのジルの処分はもう少し様子を見てからとした。
まだ、5歳の子供が一人で生きていくのは難しいと判断されたからだ。
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