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その時には、既にかなりの魔力を込められて部屋の天井に大きく育った魔力球と、魔力を大きく吸われて動くことも出来なくなった男の子。
そして、最初に魔力球を作りだした子も恐怖に腰を抜かしており、同時に自分の魔力珠も制御を失い巨大化を始めていた。
「な!何をしてる!」
教師達は慌てて子供達の魔力珠に干渉を試みるも、既に暴走状態に突入していた魔力珠は成すすべが無かった。
教師達は、手早く他の子供達を避難させる。
そして苦しそうに表情を歪めるとその子供達諸共に結界を張ろうとした。
が。
その時だった。
突然、小さな影が部屋に飛び込む。
そして、教師達を追い出して扉を閉めてしまった。
「え?何だ??今のは?」
教師達が驚きの声を上げた途端に、部屋の中でくぐもった音が響く。
教師達は、慌てて子供達が避難した事を確認してから部屋の戸を開けた。
それと同時に真黒な煙と、焦げ臭い匂いが噴き出す。
風属性の教師が風を使って、今の爆発で割れた窓の方に風を送り、煙を外に出す。
そして、煙の消えた室内を見て驚愕の表情をする。
そこには、今の爆発で粉々になった多くの物と破片。
真黒に焦げた床や天井や壁。
教師達の予想では、そこには爆発に巻き込まれた子供達の遺体の欠片が有ると思っていたのだが、子供達の居た場所には、銀色の小さな繭のような物が二つあった。
それは、鈍い光を放っており、その二つの間にまるで影のような真黒な小さな子供のようなものがいた。
「な!何だ!お前は!」
教師が声を上げた。
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