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射撃練習場に森下先生と月岡(つきおか)先生が厳しい顔で駆(か)けこんできた。上級生と学校の事務員も数名続いてくる。
「怪我はないか、逆島、東園寺!」
鋼鉄の義手でつかまれた肩が痛かった。月島先生の顔が青ざめるほど真剣で、本気で生徒の身を案じているのがわかった。タツオは黙ってうなずいたが、頭のなかにあるのは瑠子さまの「助けて」という言葉だけだった。
(わたしを助けて)
皇太女といっしょに育てられたタツオは、瑠子さまの優秀さをよく覚えていた。近衛四家の子どもたち34名と璃子(りこ)さま、瑠子さまを加えた学業成績は、12歳の時点ではタツオが第一位、瑠子さまが第二位だった。
皇室と皇奉省にとっても、近衛四家にとっても、タツオと瑠子さまは希望の星だった。それがほんの3年前のことにすぎないのだ。
タツオは永遠に等しい時の流れを思わずにいられなかった。
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