苦渋

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「ねぇ、初めての場所ってやっぱり緊張するの?」 どこか愉しそうな声。自分がつけた跡を確かめるように私の背中をなぞる。 「それは、だって、諒太くんのマンションだし」 背中を反らせてその感触から逃げた。 「今までずっと椎奈さんちだったもんね。椎奈さんの匂いがするから落ち着くんだけど、たまには俺んちもいいな」 追いかける唇。 「…っ、なんで?」 小さな痛みに耐えながら会話を続ける。 「よそ行きの椎奈さんが見られるから」 ギシッと揺れたベッド。耳元でフッと笑った気配 の、後に 「物珍しそうにキョロキョロソワソワしてる椎奈さん、可愛い」 真上にきた諒太くんから落とされた、深いキス。
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