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「面白いな、主様」
「…………ッ!」
「驚くなよ。失礼だな」
「な、何なの?」
ナツの肩の上には、小さな純白のリスがいた。
「主様は、オレのことをリスと思ってるだろ、オレをあんな、生き物と一緒にするなよ」
リスもどきがナツの周りを、フワフワと飛びながら、偉そうに言っていた。
「………羽が生えてる」
確かにリスもどきが言う通り、リスではないことはよく分かった。
「君は誰なのかな?」
リスもどきに対して、ナツは優しく訊いた。
「主様は失礼なこと訊くね。オレは主様の使い魔だぜ」
「ほへっ?」
突拍子もないこと過ぎて、ナツからは変な声が出てしまった。
「あと、オレの名前はシュガーだ。ヨロシクな。おっと、そんなこと、言ってる場合じゃないのか?主様には、やらないといけないことがあるんじゃないのか?」
リスもどき、シュガーはナツに向かって、忘れかけていると思われることを言った。
「そうよ、助けなきゃ」
ナツは、また、見えない何かに弾き飛ばされてしまった。
「主様は馬鹿なのかよ。願いを込めるんだぜ」
「願いを込める?」
「何をしたいのかだぜ。何をしたいか分からない、主様は、そんな馬鹿ではないだろ?」
シュガーに馬鹿にされているのは、気に食わなかったが、ナツは言われた通り、少年を助けたいということを、心から願った。
「何これ?」
気がつくと、ナツの目の前に、白いお菓子が、この丸みのあるフォルムは、あのお菓子だった。
「これは、マカロン?」
「流石は、主様だな。魔化論(マカロン)は普通は知られてないのにな」
「「・・・・・・・」」
意味が分からないと、互いに首を傾げていた。
噛み合わないので、二人は会話を、一旦、リセットした。
「で、これをどうすればいいのかしら?」
「ああ、主様は、それを食べるんだ」
「食べると、どうなるの?」
「時間がない、急いで食べるんだ主様、話は、その後にしようぜ」
ナツはシュガーに急かされながら、魔化論を口の中へ放り込んだ。
「これ、おいしーーー」
魔化論は、とても美味しかった。ナツは食べ終えるか、終えないかの時点で、全身が純白の光に包まれた。
ナツの運命の歯車は本格的に回り始めた。
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