その1 本気狩る少女ナツ参上ッ!

11/15
前へ
/68ページ
次へ
「面白いな、主様」 「…………ッ!」 「驚くなよ。失礼だな」 「な、何なの?」 ナツの肩の上には、小さな純白のリスがいた。 「主様は、オレのことをリスと思ってるだろ、オレをあんな、生き物と一緒にするなよ」 リスもどきがナツの周りを、フワフワと飛びながら、偉そうに言っていた。 「………羽が生えてる」 確かにリスもどきが言う通り、リスではないことはよく分かった。 「君は誰なのかな?」 リスもどきに対して、ナツは優しく訊いた。 「主様は失礼なこと訊くね。オレは主様の使い魔だぜ」 「ほへっ?」 突拍子もないこと過ぎて、ナツからは変な声が出てしまった。 「あと、オレの名前はシュガーだ。ヨロシクな。おっと、そんなこと、言ってる場合じゃないのか?主様には、やらないといけないことがあるんじゃないのか?」 リスもどき、シュガーはナツに向かって、忘れかけていると思われることを言った。 「そうよ、助けなきゃ」 ナツは、また、見えない何かに弾き飛ばされてしまった。 「主様は馬鹿なのかよ。願いを込めるんだぜ」 「願いを込める?」 「何をしたいのかだぜ。何をしたいか分からない、主様は、そんな馬鹿ではないだろ?」 シュガーに馬鹿にされているのは、気に食わなかったが、ナツは言われた通り、少年を助けたいということを、心から願った。 「何これ?」 気がつくと、ナツの目の前に、白いお菓子が、この丸みのあるフォルムは、あのお菓子だった。 「これは、マカロン?」 「流石は、主様だな。魔化論(マカロン)は普通は知られてないのにな」 「「・・・・・・・」」 意味が分からないと、互いに首を傾げていた。 噛み合わないので、二人は会話を、一旦、リセットした。 「で、これをどうすればいいのかしら?」 「ああ、主様は、それを食べるんだ」 「食べると、どうなるの?」 「時間がない、急いで食べるんだ主様、話は、その後にしようぜ」 ナツはシュガーに急かされながら、魔化論を口の中へ放り込んだ。 「これ、おいしーーー」 魔化論は、とても美味しかった。ナツは食べ終えるか、終えないかの時点で、全身が純白の光に包まれた。 ナツの運命の歯車は本格的に回り始めた。
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加