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光の眩しさにナツは、目を瞑ってしまっていた。なので、ゆっくりと目を開いて、もう一度、周りを眺めてみた。
「あれ?」
全身は綿毛のように軽く、風がどこから吹いているのか分かるほどに、感覚も鋭く、正確になっているように感じた。
そして何より。
「何なのよッ!シュガー、この格好の説明をしてよぉーッ!」
さっきまで、制服だったはずのナツは、いつの間にか、純白の動きやすいように丈の短めのドレスを着て、長めの白いブーツを履き、極めつけに、ナツの身長よりも少し小さいぐらいの、先端に太陽の描かれた、やけに長い杖を持っていた。
そのナツの姿は、どう見ても魔法少女そのものだった。
ナツはウロウロと慌てた様子で、周囲を意味もなく歩いていた。
「なんだい?主様、落ち着こうぜ」
シュガーだけは、冷静な様子で、ナツに対してクールに言った。
「こ、こ、こここここれ、これは、どういうこっ、ことなの?」
顔を真っ赤にしたナツは、シュガーに向かって、慌てふためいた様子で、説明をシュガーに要求した。
「主様、今、説明をしている必要があるのか?」
「そ、そうよ。この後に、アタシは、どうすればいいの?」
「そうだぜ。主様は、今、その事だけをやろうぜ。時間もないみたいだしな」
何の事なのか分からないが、シュガーは時間を気にしているようだった。
「シュガー、これからアタシは、どうすればいいのよッ!」
「主様、オレは主様の使い魔だ。何をしたいかを命令してくれよ」
「じゃあ、命令をするわ。アタシはどうすればいいの?教えなさいッ!」
凛とした力の籠った声だった。
「簡単な話だぜ、主様。公園に入ればいいんだ」
それを聞くか聞かないか、そんなうちに、ナツは公園へ飛び込んでいた。
見えない何かが弾けて、ナツはやっと、公園へ入ることができた。
「………今度は、何よ」
ナツの目の前には、漆黒の体に翼、蒼白く光る長い爪、尖った耳に、金色の瞳を持つ、その姿はまさしく。
「・・・・・・・・・」
「ア、アクマ?」
悪魔だった。
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