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気がつくと、二人と一匹はいつの間にか、公園の前に立っていた。
「戻ってきてるのかな?」
「ちゃんと、主様は戻ってきてるぜ」
不安そうに呟いたナツに対して、シュガーが答えた。
「主様、質問があったよな?」
「あるけど、それがなにかしら?」
「そこの子どもは置いていって、主様はオレについてきてくれ」
「いいわよ」
ナツに抱えられ、まだ、意識の戻らない少年を公園のベンチに下ろした。顔色も悪くなく、穏やかな寝息をたてているようだった。
「じゃあ、どこへ行けばいいのかしら?」
「いや、その必要はなくなったぜ。あっちから、来てくれたみたいだ」
シュガーが住宅街の方へ、さっき、ナツが歩いていた方を見つめていた。
「誰なの?」
そこには、一人の人影があった。
「三十分振りですかね。ナツちゃん」
その人影は、甘楽学園高等部一年三組担任にして、ナツのお兄ちゃん的存在。
朱東蓮だった。
「えっと、何で?」
さっきとはうって変わって、間抜けな気の伸びきった声だった。
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