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少女は息も絶え絶えでフラフラとした足取りで二階にある一年三組の教室を目指して歩いていた。
「……ハァ、ハァ…これで………間に合う」
時間までに学校についた安心感による脱力で足から力が抜けていた。時間は七時五十八分、そのフラフラ足で教室のドアを開けた。
「「「「「・・・・・・・・・」」」」」
「…………ウソでしょ」
開けたドアの向こうでは普段のクラスメイトと一年三組の担任教師(アイツ)が授業をしていた。
全員の視線が少女に突き刺さる。
音の無い静かな空間がそこに広がっていた。
そんな沈黙を打ち破ったのは。
「安藤さん、遅刻ですよ」
教師(アイツ)だった。
安藤さんこと、安藤ナツは遅刻の勧告に絶望的な表情を浮かべ膝をついて倒れ込んだのだった。
「・・・・・・・」
ナツは、いまだに教室のドアの前で膝をついたままで、動けずに固まっていた。
「では、続きを始めましょうか」
ナツには気にも止めずに、教師は授業を再開した。
頭のなかで渦が巻いている。
何が起こったのか、訳がわからなかった。
「・・・・・・・」
その事もあり、ナツが動き出すまでに、十分もの時間がかかってしまった。
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