その1 本気狩る少女ナツ参上ッ!

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どうやっても、この教師からの、独特の雰囲気が醸し出す流れには一生、勝てないような気がしていた。 「ちなみに私の勝ちですよ」 「教師が賭け事をするのはダメじゃないの?それが本当なら、理事長に言いつけてやるわ」 「それは困りますねぇ」 これは久し振りに、ナツがこの教師に勝利を、確信した瞬間だった。 所詮は雇われの身、どんなことがあろうと、雇い主の理事の攻撃は抗えないはずだ。というのがナツの考えだった。 しかし、それはあっさりと。 「かけたと言っても、何もかけてないんですけどね」 打ち砕かれてしまった。 「私個人でしか、やってなかったんですけどね」 粉々に砕かれてしまった。 木っ端微塵、跡形もないとはこの事だった。 ナツは教師に遊ばれていたことに気がついた。 「何よ、レン兄ちゃ・・・・・」 「懐かしいねぇ、その呼ばれ方」 ナツの赤かった顔が噴火寸前の火山のように、さらに、赤くなってしまった。 そう、ナツとレン兄ちゃんこと朱東蓮は昔からの付き合いなのである。 ずっと昔、ナツが生まれたときから、お隣に住んでいた、家族ぐるみの付き合いで、何度も蓮にナツは遊んでもらったりもした。 だからこそ、ナツにとって天敵(そう思っているのはナツだけ)のような存在だった。 例えば・・・・ 「いつになったら、ナツちゃんは結婚してくれるんだろうねぇ?」 「…………ッ!、うるさい、うるさい うるさい、うるさぁーいッ!」 このような、過去にナツが言った話などである。 誰だってあるよね。小さい頃の優しいお兄ちゃんとかに憧れること、それはさ、仕方ないことだよね。ウンウン、仕方ない、仕方ない………仕方ないよね?(ナツ談) 「では、そろそろ始めましょうか、安藤さん」 ナツはやはり、蓮の雰囲気が醸し出す流れには一生勝てないような気を、改めてしていた。 蓮がナツを安藤さんと呼ぶときは教師モードの時のことなのである。こうなると諦めて勉強をした方が早いと言うことは、ここ数ヵ月で理解をしていた。 「よろしくお願いします」 二人きりの、面白味もない、ただの授業(補習の遅刻した分)が始まった。
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