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勉強と言うものは集中してしまえば、あっという間のことであり、ナツが気がつくと、もう、ほとんど終わりに近かった。
補習の遅刻した生徒にまで授業をするとは、スゴいことなんだろうとナツは改めて、蓮の教師としての器の広さに内心では感心しながら最後のノートを写していた。
「余計なことを考えないで、手をちゃんと動かしなさい」
何で、分かってしまったのか、そこに驚愕をしていると、
「そんなに驚かないでくださいよ」
驚かないのは無理である。
急に、内心を読まれて焦らないという謎の神経を生憎、ナツは持ち合わせていなかった(持っていても使い道が少ないが)。
しかし、相手は蓮である、もしかしたら、読心術的なことができるのかもしれない。ナツは確かに蓮なら、そのぐらい出来ても、おかしくないような気がしていた。
「長いこと、生活すると顔を見れば大体のことが分かりますよ」
なんとも、ナツ的には納得できなかったが、この話を広げても意味がないように感じたので、話をやめることにした。
「ところで、何で蓮さんは、こっちに戻ってきたの?」
学校が始まり、蓮がわざわざ、ここまで戻ってきた理由を、ちゃんと聞いていなかったので、このタイミングで聞いてみることにした。
「そうですねぇ、理由は特にありませんかねぇ」
何か隠し事をしている。
その事は、ナツの顔で何を考えているのか、蓮には簡単に分かるように、ナツにも蓮が何かを隠していることが分かった。
しかし、話を振っておいて、一切の興味が湧かなかったので、ここで話を改めて、やめることにした。
いつも、このような会話なのである。
二人は互いを詮索しないし、関与も全くしない。だから、ナツはこの甘楽学園にて、蓮の姿を見たとき、驚きを隠せなかった。
そんな、二人だったからこそ、今までの関係が続いたのだとも、言えないこともないと思うのだが………
何はともあれ、二人は今も仲が良かった。
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