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(俺の紅鷹は一撃必殺の威力に特化した型。それに、小細工もしてある。なのに、ムカデ共は数が減るどころか……)
眼を眇める。下手をすればかすり傷一つすら付いていないかもしれない。
――――このムカデ共、何かがおかしい。絹方の勘が働く。
絹方は百足から距離を取る――――、背後より何かが駆ける激しい水音。肩越しに見れば、狼が突進してきている。数は七から九頭と言ったところか。
絹方は数多の黄色の鳥を生成した。一尺程度の大きさのそれらは、隼の姿をしている。それらを一気に狼達へと向ける。いとも簡単に消える狼達。
そこを通り、絹方はさらに距離を取る。さらにその後を追う百足。
後退しつつ、大量の青色の燕が生成された。それらは今度、ムカデへと向かう。四方八方から鳥達が蝗害の如く、襲いかかった。激しく水飛沫が上がり、視界が遮られる。だが、それも一瞬。
百足が一匹残らず消えていた。
「……おう?」
やはり、何か細工がある。絹方は確信した。
(威力に任せた力攻めは効かない。だが、数に任せた攻撃には弱いか?)
青の燕を出す。小さいものの、数が多い。先ほど、百足を撃破した鳥達だ。
「さぁ、どう出る?」
鳥の大群が、二人を餌と言わんばかりに群がる。逃げ場などない。
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