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――――だが。
狼達が、青の鳥を切り裂いていく。
「チィッ! 邪魔すんなよッ」
絹方は苛立たしげに吠えると、五条啓吾へと標的を変えたようだ。黄色の鳥が絹方の周りから一気に五条啓吾へと。疾い。まさに隼の如く、闇夜を、狼達を切り裂いていく。
「させるかッ」
竜崎の声と共に札が一枚五条啓吾へと放られた。札は五条啓吾の前で停止すると、半円の結界を形成した。
コンマ数秒。直後、黄色の隼達は結界を貫かんとするが、呆気なく結界に遮られ、消えていく。
「春人ッ!」
五条啓吾の呼びかけに竜崎が百足丸を振って、呼応した。
巨大な百足が数匹、狼達と共に絹方へと肉薄していく。百足は直線的に、狼達は翻弄するように前後左右に奔る。
「――――そう来ると思ったぜ」
絹方はそう言うが早いか、黄色の鳥の群を生成。その群の一部は高く飛び、宙へと消えた。そしてさらに一部は、狼へと向かっていった。隼にかき消され、霧散する狼達。だが、まだ百足はキリキリと奇怪な声で鳴きながら、絹方へと突き進む。その様はまさに、不退転。
「これならどうだ?」
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