第1話

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 僕の家の妹は本当に強かった。  僕と妹は僕が小学生の頃に両親が離婚して、父親に引き取られた。 シングルファザーの家庭で過ごしていた。そのせいもあってか、妹が非常に強い。  もともと母親は強くて家の全権力を握っていた。ローンと通帳の名義だけは父親のものだったけれど、権力は完全に母親の手の中だった。だから母の言うことは絶対だったし、言い返すこともできない。 おもちゃなんて機嫌のいい時にしか買ってくれなかったから、友達が「あれ買ってもらったんだ」とか「お前もやろうぜ」と言われたときはむずかゆい思いをしたことを覚えている。  父は、給料を毎月持ってきているのにお小遣いが2万円も無かった。生活費諸々以外は全て母が消費していた。貯金なんて眼中になかった母だから、貯金は底をついていた。  ちょうど、物覚えのついた頃にそんな両親をみてきたからなんとなくはわかるけれど、妹は生まれたときからみている訳で、人間の本能かは知らないけれど、強い人間になろうとした。  妹は小さい頃から、わがままを貫き通したような子だった。買いたいものは何がなんでも買うし、面倒くさいことは一切やらない。よくあるおとぎ話に出てくる悪役の姫様みたいな感じだった。  僕が小学校6年生のとき、妹は小学校3年生だった。  学校ではあまり顔を合わせることは少なかったが、同級生で妹と同学年の兄弟姉妹がいる友達から、情報が流れてくる。  妹は小学生になったら、さらにパワーアップしたらしい。もともと人付き合いの良かった妹は人気者になり、クラス委員までやっているという。クラスに取り巻きがいたりした。
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