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潤一は前に、
自分の父親が社長と聞いて金目当てに近づいて来た子がいて、
それが軽くトラウマとなってしまい、
正直 潤一は告白されるのは少し苦痛であった。
少々荒れた時期もあったが、
今はこの通り、ちゃんと潤一自身を好いてくれる勇にデレデレである。
「…あのー、勇、怒ってる?」
「別に」
「そ、そう…」
勇は横目で潤一を見る。
「…帰るよ」
「ああ。…あ、俺…傘…」
「ん。…入って」
ビニール傘を傾ける。
「えっ、うん…!」
嬉しそうに頬をほのかに赤く染め、潤一は勇の雨に濡れて冷えた手を傘の持ち手ごと握る。
潤一の手は暖かい。
二人は、雨の降る中を歩いて行った。
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