告白

6/6
前へ
/98ページ
次へ
  潤一は前に、 自分の父親が社長と聞いて金目当てに近づいて来た子がいて、 それが軽くトラウマとなってしまい、 正直 潤一は告白されるのは少し苦痛であった。 少々荒れた時期もあったが、 今はこの通り、ちゃんと潤一自身を好いてくれる勇にデレデレである。 「…あのー、勇、怒ってる?」 「別に」 「そ、そう…」 勇は横目で潤一を見る。 「…帰るよ」 「ああ。…あ、俺…傘…」 「ん。…入って」 ビニール傘を傾ける。 「えっ、うん…!」 嬉しそうに頬をほのかに赤く染め、潤一は勇の雨に濡れて冷えた手を傘の持ち手ごと握る。 潤一の手は暖かい。 二人は、雨の降る中を歩いて行った。  
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

347人が本棚に入れています
本棚に追加