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「着ていかれますか?」
会計をしている最中の店員さんのこの言葉により、再度試着室に入ったアゲハは買ったばかりのワンピースを着て出てきた。
淡いブルーの生地で、裾の部分に二段のフレアがついている。後ろには首の付け根あたりに、生地と同じ色の紐で大きなリボンが結ばれている。
アゲハの真っ黒い長い髪と淡いブルーのワンピースの作るコントラストが、パソコンで見たキアゲハ蝶の翅を思わせる。
試着室の脇にある大きな鏡を何故か凝視しているアゲハ。
自分の姿が映っているのが不思議なのかと思っていたら、急にこっちを向いた。
「かいと、ありがと!」
花が咲いたように笑う。
僕は、一瞬息が止まってしまって、上手く返事ができなかった。でも、そんなことは気にしてないように、ニコニコしているアゲハを見て、僕の頬は自然と緩んだ。
なんだか、アゲハの周りだけ、色が増したような気がした。
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