第2話

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 目が覚めたら、ベッドが空になっていることを期待して眠りについたのは、九時過ぎだった。  普段の僕ならまだ寝ない時間だけど、彼女に合わせて、というか、少し目を離している間に彼女が椅子の上で眠ってしまったため、早々に寝ることにしたのだ。  勿論、彼女にはベッドを使ってもらって、僕はカーペット一枚の床だ。一人暮らしのうえ、人が泊まりに来ることを想定していない僕の部屋には敷布団は一枚しかない。バスタオルをタオルケット代わりにし、枕は自分の腕、という状態で横になった。  得体の知れない女の子がいることと、床の堅さが相まって浅い眠りになってしまったらしい。いつもなら熟睡している時間に目が覚めた。  目をこすり、固まった体をほぐしながらベッドを見る。  期待は一瞬で崩れた。  ベッドには、規則正しく呼吸する女の子が横たわっている。  やはりそう都合よくはいかないか……。    彼女を起こさないよう風呂場に行く。お湯の勢いを弱めにし、あまり音を立てないように気をつけながらシャワーを浴びる。  お湯の熱さで覚醒していく頭で寝る前のことを思い出す。正確に言えば、昨夜触れた彼女のこと。
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