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僕は椅子で眠ってしまった彼女を仕方なくベッドに運ぼうと抱きかかえた。そして、一瞬固まってしまったのだ。彼女の軽さに。
女の子の体重なんて知らないけど、それでも彼女は軽すぎた。
真っ黒な髪も、艶やか過ぎるというか何というか。人間のそれより綺麗な気がした。
そして、彼女の体温。
彼女の腕に触れたとき、少しひんやりした。冷たいわけではないけど、人間よりも体温は低かった。
濡れた髪をタオルで拭きながら、部屋に入る。スースーと、気持ち良さそうな寝息がまだ聞こえてくる。
静かにパソコン机に向かい、電源を入れる。
体が軽いことと、体温が低いこと。この二つから、僕は、彼女が蝶だということを信じてもいいと思っていた。だから。
「うん。やっぱり、そうしよう」
僕は決心した。
パソコンが立ち上がったのを確認して、ネットに接続する。心が決まって、次いで頭に浮かんだのは、何食べるんだ?という疑問だった。
人間の姿はしているけど、同じものを食べるとは限らない。
僕の朝食はだいたい食パンをトーストしたものだ。一応、彼女に勧めてみようとは思うけど、もし食べられなかった場合を考えて事前に調べておくことにしよう。
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