第2話

7/12
前へ
/12ページ
次へ
「わたしとにてる」 「そっか」  ということは、僕の記憶と選択は正解に近いようだ。ほくほくとした気持ちで次の写真を選びにかかる。 「あ、いまの!」  突然、後ろからか細い腕が伸びてきた。彼女はパソコン画面を指したが、すでに戻るボタンで一つ前のページが表示されている。 「どれが気になったの?」と、先ほどまで開いていたアゲハ蝶のページを展開させ、ゆっくりスクロールする。 「これ」そう言って、指差したところには、『アゲハとキアゲハの違い』というタイトルで写真が複数並んでいる。  さっきは、文字を読まずに写真しか見ていなかったけど、別の種類の写真も並んでいたらしい。  タイトル通り、アゲハ蝶とキアゲハ蝶の写真が横に並び、違いの説明文が添えられている。けど、正直、ふと目に入った程度では、区別なんてつきそうもない違いだ。  彼女はキアゲハ蝶の写真を指している。  アゲハ蝶よりも黄色が多く、模様を描く黒色の線も細い。後ろの翅にある青色の斑点は鮮やかで、一つだけあるオレンジ色の斑点が際立っている。 「この蝶で間違いない?」  聞くと、うんと返事が返ってきた。どうやらこれで間違いないようだ。それにしても、蝶の写真をしっかり見たのは初めてだ。    細かい模様。  鮮やかな色使い。 「綺麗だね、君の翅」  振り向くと、何故か少し顔を赤らめた彼女の顔があった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加