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午後、僕たちはアパートから一番近いショッピングセンターにやってきた。服や靴を買うためだ。ぶかぶかの服を着て、ぶかぶかのサンダル姿で歩く彼女と一緒に出かけるのは、少しためらわれたけど、僕は女の子の服なんて選べない! だから、店員さんに任せることにした。
「アゲハ、そっちじゃなくてこっちだよ」
「まって、かいと」
付けたばかりの名前で彼女を呼ぶと、教えたばかりの僕の名前を読んで、ペタペタと駆けてくる。
安直だけど、名前は『アゲハ』にした。そして、紙に『海斗』と書き、その横に『かいと』とルビを振って、僕の名前を教えた。
アゲハは初めて見るショッピングセンターに興奮しているようで、きょろきょろと落ち着きがない。僕は、そんなアゲハから目を離さないようにしつつ、靴屋を探した。
やはりぶかぶかのサンダルでは歩きづらいし、このまま服を選びに行くのはちょっと変だ。
何足か試し履きをして、かかとの高くないぺたんこのサンダルを一足購入した。
すぐに履きますというと、店員さんが、今履いているサンダルを入れるために袋をくれた。
きれいに化粧をした店員さんに感謝して、サンダルを袋に入れる。横では、アゲハが買ったばかりのサンダルをはいて、嬉しそうに眺めている。
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