3人が本棚に入れています
本棚に追加
学園に必要な物は全て向こうで準備されているらしく、また全寮制なため、家を買って"ご近所付き合い"する必要が無かったのはありがたい。
また、言霊使いは全面的に国からバックアップされるので、俺がここで金を作り出す必要もない。
ああ、もちろん金を偽造する、と言うことではない。やろうと思えばできなくもないが、そこまで堕ちちゃいない。稼ぐ、と言う意味で、だ。
ただ、問題が一つ。
入学申し込みの際に言霊を使う試験があったが、もともと俺はカタリでも何でもないため、ばれないように魔法で誤魔化してしまった。
ある程度までは気付かれずに魔法で代用は可能だが、学園に通う以上、言霊を使えるに越したことはない。
ただまあ、何とかなるだろうという楽観思考のもと、ダラダラと過ごして来たのだが。今はそれより知識を優先して、土台作りに励んでおこう。
そして一月と言うのは早いもので。
俺がこの世界の生き物全てを調べ上げ終わった頃に、学園の入学式がやってきた。
俺は学校なんて通った試しがないため、始めての学生服に手を通し、カタリたちの学園、国立ニールイル学園の校門前に移動。
ぶっちゃけ魔法使えば楽なんだが、目立つため一応歩きだ。
ニールイルの最大の特徴と言えば、その広大な敷地面積にあるだろう。
流石に俺も驚いた。
今も新入生らしき人たちが吸い込まれて行く校門もバカ面で見上げたくなるくらいデカいのだ。
両側に置かれた石像とのミスマッチ加減に突っ込みたくなる無機質な鉄の門をくぐれば、わらわらと新入生たちが講堂のような建物へ移動している。
その群れの中に混ざりながら、ばれないように薄く魔力を放出し、一人一人を観察していく。
最初のコメントを投稿しよう!