序章

3/4
前へ
/56ページ
次へ
本の内容を暗示するかのような蒸し暑い日。 その中に彼の凛とした声が響き渡った瞬間、それは起きた。 空が、大地が、…泣いている。 助けて、と。 ごめんね、と。 ………そして。 今の今まで彼の前に存在したモノが、 掻き消えた。 悲哀に満ちた男の意思を汲むように。 まるでそれは彼の贖罪。 存在すら後悔した男の悲願。 言霊を通じて届けられた男の、紡いだ想い。 彼が持つのは、そんな男の意思が染み付いた、魔に魅せられた本。 「当たり、だな。 久しぶりの収穫だ。」
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加