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夏は嫌いだ。
ミーン、ミーンと、蝉が騒ぐ中で一人考える。
なぜか。
それは当然。
「………面倒だ。」
そんな季節だから。
夏が嫌いだからといって、冬が好きなわけでもないし、冬に面倒事が減るわけでもないが、嫌いなものは嫌いなのだ。仕方ない。
「そうも言ってられないのは、あなたも分かってるでしょうが。」
そうボヤくこいつに意識を戻す。
場所は小さな隠し部屋、もとい、こいつ、クリマの仕事部屋。彼女の仕事を表すように、壁中に張り巡らされたコードの束、そして中央にその存在を主張する馬鹿でかいデスクトップ。
換気のためという名目で開け放たれた、小さな窓。
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