二人に起こった奇妙な出来事

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「あ、おい、可愛、置いて行くなよ」 チョコチョコと走って来る樹利に、思わずクスリと笑うと、 「あ、笑ったな。じゃあ、あの角まで競走だ」 と、いきなり走り出した樹利に、可愛は目を丸くした。 「ちょっ、いきなり競走なんてズルイ」 そう言い後を追い駆けると、思った以上に身体が軽くて想像以上のスピードが出て、チョコチョコと走る樹利をそれは簡単に追い抜かせた。 わっ、人生でこんなに速く走れたのって始めてかも? すごく気持ちいい! そう思っていると背後で樹利が苦しそうにハーハーッと息を吐いていた。 「う、可愛の身体って、運動不足すぎ。 この程度で息が上がるってなんだよ。 帰ったら、この身体鍛えなおしてもいいか?」 苦しげにそう告げた樹利に、可愛はギョッとして目を開いた。 「い、いえ、結構です。元に戻ったときに筋肉痛で動けないとかなりそうで」 「そっか、何日間って分かってたら、腹筋割る勢いでガッツリ鍛えてやるんだけどな。 だけど腹筋バリバリの可愛ってのもな」 「私は腹筋割れてる女性に憧れますけどね。けど続けられないんでいいです」 「ま、このままが可愛らしいな」 樹利はそう言って楽しげに笑った。
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