2557人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
「あ、おい、可愛、置いて行くなよ」
チョコチョコと走って来る樹利に、思わずクスリと笑うと、
「あ、笑ったな。じゃあ、あの角まで競走だ」
と、いきなり走り出した樹利に、可愛は目を丸くした。
「ちょっ、いきなり競走なんてズルイ」
そう言い後を追い駆けると、思った以上に身体が軽くて想像以上のスピードが出て、チョコチョコと走る樹利をそれは簡単に追い抜かせた。
わっ、人生でこんなに速く走れたのって始めてかも?
すごく気持ちいい!
そう思っていると背後で樹利が苦しそうにハーハーッと息を吐いていた。
「う、可愛の身体って、運動不足すぎ。
この程度で息が上がるってなんだよ。
帰ったら、この身体鍛えなおしてもいいか?」
苦しげにそう告げた樹利に、可愛はギョッとして目を開いた。
「い、いえ、結構です。元に戻ったときに筋肉痛で動けないとかなりそうで」
「そっか、何日間って分かってたら、腹筋割る勢いでガッツリ鍛えてやるんだけどな。
だけど腹筋バリバリの可愛ってのもな」
「私は腹筋割れてる女性に憧れますけどね。けど続けられないんでいいです」
「ま、このままが可愛らしいな」
樹利はそう言って楽しげに笑った。
最初のコメントを投稿しよう!